庭園が樹木が立派な「要傳寺」

画像:要傳寺

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根岸古寺めぐり7番札所に指定されている

鶯谷近辺、根岸や谷中といったエリアには神社・寺が多く、また芸術家や文士たちが多く居住していた地域として知られています。
そんな鶯谷周辺のなかでもひときわ立派な樹木の庭園で知られるのが、要傳寺(要伝寺、ようでんじ)です。
要傳寺といえば根岸の古寺めぐり7番札所にも指定されており、神社・寺巡りには欠かせないスポットとなっています。
要傳寺は都心にありながらかなりの敷地面積を持っており、その庭園の樹木の立派さはひときわ目をひくところです。
1609年に開かれたこのお寺ですが、火災の多かった江戸時代に何度も被災しておりそのたびにかなりの被害を出してきました。
昔はそれほど広くなかった庭園ですが、度重なる火災を避けるためのスペースとして広げられたという説もあり、火災と大地震を何度もくぐり抜けてきた歴史を感じさせる作りとなっています。
本是院日厳が開山したのが要傳寺ですが、この住職の家系は後述する廃仏毀釈でいったん途切れており、その後の中興の祖ともいうべき俊中院日雅によって再興されるまでは廃寺となったという激動の歴史を持っているのです。
神社・寺の多い鶯谷や根岸の周辺でもこれほどに浮き沈みの多い過程をたどった神社仏閣は他に無く、要傳寺ならではの逸話として今も語り継がれています。
鶯谷や根岸は旧名で金杉村と呼ばれていますが、この金杉村には芸術家や文士たちが多く居住したことで知られている地域です。
この要傳寺の庭の見事さに感心した文士の詠んだ句や、庭の樹木を描いた絵画や掛け軸などが今も所蔵品として残されており、折に触れて一般公開されていますので機会があればぜひ見ておきましょう。

廃仏毀釈で廃寺だったことがある

江戸時代の初期に開かれてから、長らく根岸や鶯谷地域に根差して信仰の対象とも憩いの場ともなっていた要傳寺ですが、明治期になってから非常に大きな転換期にさしかかります。
これは要傳寺だけの問題というわけではなく全国の寺院が巻きこまれたことで、教科書にも載っている大事件なのですが、「廃仏毀釈」という運動がありました。
これは明治維新を皮切りにして強力な中央集権国家を作ろうという流れのなかのもので、簡単に言うと「日本の宗教を神道に統一し、天皇家とその支配をより強固なものにしよう、そのため仏教寺院を破壊し追放する」という過激なものでした。
この廃仏毀釈の波は鶯谷周りの寺院にも及んでおり、要傳寺もその対象となって寺の社殿や仏具などその多くが焼き捨てられてしまい、寺は廃止となってしまいます。
結局この後廃仏毀釈は続かず、仏教と神道はお互いに融和し共存する道を選んだために要傳寺も1882年には再興されることとなり現在に至っているのです。
結果論ではあるものの、こういった破壊がきっかけとなって日本の仏教は覚醒し既得権益側でなくなったことでより人々の心に寄り添う存在になっていったという経緯もあります。
そのため要傳寺も含め、多くのお寺がそれまで以上に地域の人々の信仰を集める結果となりました。
このような経過で、現在の要傳寺はその建物のほとんどが明治後期以降に作られたものとなっており他の神社などに比べると比較的に新しいものが多くなっています。
昭和期になってから社殿や拝殿など多くに改修工事がなされており、とてもモダンな建物の多いお寺となっているのが特徴です。

江戸時代初期作!貴重な木造の日蓮上人坐像

法住寺という山号のある要傳寺ですが、宗派は日蓮宗であるために日蓮上人の像がいくつも寺領内に存在します。
まず、境内の中には青銅製の日蓮上人の立像があり、訪れた人たちに荘厳な印象を与え続けているのです。
法衣を着て片手に経典(巻物状)を持ったスタンダードな立像ですが、人の背丈よりもかなり大きく非常な存在感があるため、山門の右手にある石造りの淨行菩薩像(立像)とくらべてもとても雄大な印象を受けるでしょう。
像はこれだけではなく、有名なのが木造の日蓮上人の坐像です。
こちらは江戸時代の初期、要傳寺が開かれたころの制作とされており数々の火災や地震、廃仏運動なども乗り越えてきた奇跡の坐像としても知られています。
台東区の重要文化財にも指定されている貴重なもので、木造であるため湿気やカビから守るために普段は拝観することができません。
美術館などへの貸出実績は何度かあるものの最近ではお寺から持ちだされることもなく、数少ない一般公開のタイミングを狙って見に行くのが一番現実的でしょう。
日蓮上人といえば全国を歩きまわり、辻での説法が有名な非常にアクティブな印象の上人さまです。
そのためか立像が非常に多く、静かに足を組んでいる坐像の数は極端に少ないとされており、それだけでもこの要傳寺に残る像の貴重さが伝わってきます。
ご本尊を阿弥陀如来などと定めている寺院が多い中、要傳寺ではこの日蓮上人坐像を本尊と定めているためなかなか外部に出せないという事情もあります。
お寺の公式ホームページがありますので、そちらのほうでその都度最新情報をチェックすると良いでしょう。

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