大正時代の下町を再現した1階
鶯谷は下町の風情あふれるスポットですが、それでも本当の意味での下町の様子というのは大分薄れているので、昔の姿を知らなければちょっと雰囲気が変わった街ぐらいにしか思えなかったりするものです。
そのような鶯谷に本当の下町を体感することができるちょっと変わった施設があります。その名もずばり下町風俗資料館です。
名前のとおりに大正時代の下町を再現した資料館であり、鶯谷や下町というのはこのような雰囲気を持つ場所だったのかと実感させてくれます。
近代的な建物が立ち並ぶ東京にも、情緒あふれる下町の光景があったということを体感できるのはとても新鮮なものであり、鶯谷まで足を運んで体感してみるだけの価値があるものとなっています。
下町風俗資料館は1階と2階に別れているのですが、1階は大正時代の下町を再現しているのが特徴です。
長屋の住人の暮らしを知ることができ、大正時代を舞台にしたドラマのような光景が広がっています。
展示されている調度品や生活道具というのは、実際に当時使われていたものであり、現代との違いを知るのに役立つものとなっています。
様々な建物が再現をされているのですが、外から眺めるだけでなく中には建物の中に入って当時の家屋を体験することができるものもあります。
商家・長屋のちゃぶ台や火鉢の前に座ってみれば、あたかも大正時代にタイムスリップを舌かのような気分を味わうことができます。
便利でなんでもある時代とは違って、不便なこともありますがそれでも今の時代と違って、どこかのんびりとした現代人が忘れてしまった大切なものを思い起こさせてくれるそんな空間になっています。
2階はレトロなおもちゃや生活道具を展示
下町風俗資料館の2階は街並みを再現したものではなく、鶯谷などの下町の地域の資料が展示されていたり、時期によって異なる展示物があり歴史を勉強することができる場所となっています。
資料が展示されているだけでなく魅力的なのが、レトロのおもちゃが展示されていて、実際にそれで遊ぶことができるという点にあります。
けん玉のように現代でも親しまれているものや、コマのように近年ではあまり遊ばれないものなどがあり、更にはパチンコの原型あるいはスマートボールの原点となるような物もおいてあって実際に遊ぶことができます。
単純ながらもなかなか難しくついつい夢中になってしまう魅力を秘めていて、面白いおもちゃというのは時代を問わずに楽しむことができるということを証明してくれます。
機関車のおもちゃや取っ手を回すことによって、人形がグルグル回る工芸品のようなおもちゃも展示されていて、目で見て楽しむことができるというのも魅力となっています。
その他にも今でも残っている輪投げにでんでん太鼓、万華鏡と言ったものもあり、人によってはこれらのおもちゃが大正時代からあったことに対して驚くかも知れません。
現代の人からするとちょっぴり怖く見える日本人形も展示されていたりして、ノスタルジックな気分に浸ることができます。
子供の遊ぶための道具ではありますが、下町風俗資料館のような場所で歴史のあるおもちゃに触れてみればそれだけでレトロな雰囲気に包まれることができるため、子供はもちろんのこと大人であっても童心に返ってどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。
下町風俗資料館の2階は大人は子供に子供は大人になることができるような、そんな空間となっています。
カフェコーナーでは昭和の喫茶店を再現
下町風俗資料館では主に大正時代を再現した資料館なのですが、カフェコーナーでは昭和の喫茶店を再現していて、これまた味のある雰囲気が魅力となっています。
喫茶店に関しては昭和の雰囲気を残っている店も珍しくありませんから、実際の店でも雰囲気を味わうことはできますが、それでも昭和30年台の雰囲気が残っている店というのは滅多に見つからないものです。
それだけに下町風俗資料館のカフェコーナーにくれば、いつでも昭和の喫茶店を堪能することができるというのは、非常に貴重な場所だと言えるでしょう。
カウンターには懐かしい蓄音機があり今にも当時のレコードが聞こえてきそうな雰囲気があります。
更に古いお酒の瓶がいくつか展示をされていて、今とデザインが大きく変わらないものもあれば、今日ではあまり見られないものをみることもできます。
テーブルの上にはボードゲームが置かれていて、当時の人達は喫茶店でゲームに興じていたということがわかります。
現代でもカフェに集まってカードゲームやボードゲームをする人も少なくありませんから、このような流れは少なくとも60年前にはすでに存在していたということを教えてくれます。
赤いソファはよく目立って派手なものですが、それでいながらどことなく落ち着いた雰囲気があり、今の時代の派手さだけを追求したものとは少し異なるものだと感じることができます。
更にカフェコーナーの前には当時の浅草と上野の様子を3Dでみることができる、ちょっと面白い機械があり今流行りのVRの原点とも言える装置を使って、下町の歴史を感じ取ることができるのもまた魅力です。