時の風を感じられる「旧岩崎邸庭園」

画像:旧岩崎邸庭園

http://teien.tokyo-park.or.jp/contents/outline035.html

三菱財閥の創始者・岩崎彌太郎の長男が建造

旧岩崎邸庭園は東京都の台東区池之端にある都立の庭園です。
鶯谷駅からも近い場所にあり、この場所にはもともと三菱財閥の創始者として知られる岩崎彌太郎の子孫が住む本邸がありました。
第二次世界大戦終了後、連合軍最高司令官総司令部によって接収され、その後日本に返還されましたが、建物は歴史的な価値が高いことから重要文化財に指定されています。
もともとこの場所に岩崎家の本邸が建設されたのは、明治時代にまでさかのぼります。
建設に着手したのは、三菱の三代目の社長である岩崎久彌で、久彌は三菱財閥の創始者の岩崎彌太郎の長男にあたる人物です。
もともとこの場所には、越後高田藩の中屋敷があったのですが、明治維新後に元舞鶴藩主であった牧野弼成が買いうけて邸宅が建設されましたが、その後この土地は岩崎彌太郎に売却されています。
建物が建設された敷地は1万5千坪の広さに及び、最盛期にはこの土地の中に20棟にも及ぶ建物が建設されました。
戦後、連合軍から国に返還された場所は、この場所には司法研修場が建設されました。
その後、この司法研修所は他の場所に移転されることになったことから、土地の管理は文化庁に移管し、さらに東京都に管理が移管されます。
東京都がこの施設を都立庭園として公開したのは、2001年からで21世紀になってからのことです。
現在、旧岩崎邸庭園として保存されているのはその中で三分の一の面積にあたる部分です。
敷地の中には、往時を思い起こさせるいくつかの建物が現存して保管されています。
旧岩崎邸庭園は都立公園として現在では誰でも自由に見学できるようになっています。

洋館・和館・撞球室の3棟が現在も残っている

鶯谷駅からも近い場所にある旧岩崎邸庭園が歴史的にも重要な価値を持っているのは、岩崎家の邸宅があったからというだけではありません。
この建物を建設したのが、イギリス人の著名な建設家であるジョサイア・コンドルであることも、この邸宅の歴史的な価値を高めている理由になっています。
コンドルが日本に建設した建物としてはそのほかに、外国の大使館などを接待するために建設された鹿鳴館などがあります。
コンドルが建設した建物の中でも現在の旧岩崎邸庭園に現存しているのは、洋館と和館、それにビリヤードを楽しむための施設があった撞球室の三つです。
これらの建物のうち、洋館と和館は現在でも内部を見学することができますが、撞球室は内部が立ち入り禁止となっているために、外観だけを見学可能です。
コンドルが建設した岩崎邸の建物は、さまざまなところでジャコビアン様式の装飾が施されているのが大きな特徴です。
これらのコンドルが採用した建築様式は、当時建設され始めた多くの西洋風建物とは若干異なった種類のものであるために、旧岩崎邸庭園ではそうした歴史の貴重な面影も見学することができます。
撞球室も凝った作りになっているのが特徴で、ヨーロッパにある山小屋をほうふつさせるような、木造の家屋になっています。
庭園内ではそのような個性的な外側からじっくりと眺めることができます。
立ち入り禁止となっている撞球室の内部には地下道も建設されていて、洋館から自由に出入りできるような設計になっていました。
数多く存在した建物の中でも庭園内に現存している洋館は木造二階建てのもので、建物の地下には当時では珍しい地下室も作られていました。

敷地全体が重要文化財

鶯谷駅からも歩いて行ける場所にある旧岩崎邸庭園は、敷地内に現存している洋館や和館だけではなくて、敷地全体が重要文化財として指定されていることも大きな特徴です。
そのために敷地内に残されている邸宅を囲む煉瓦塀なども、重要文化財の一部を構成しています。
また敷地だけでなく、この土地を計測した実測図なども重要文化財として指定されています。
そうした理由から鶯谷を訪れた多くの観光客がこの場所を訪れていて、地元でも人気の高い観光スポットです。
鶯谷近辺の観光地として旧岩崎邸庭園の人気が高いのは、歴史的な価値が高いという理由だけでなく、四季折々の自然を楽しめることも大きな理由です。
旧岩崎邸庭園の中には、さまざまな種類の樹木が植えられています。
その中にはサクラの木なども多くあり、春にはお花見を目的としてこの施設を訪れる観光客も大勢います。
施設内にはイチョウやカエデの木も植えられているために、秋の紅葉シーズンに訪れるにも最適なスポットです。
その他に施設内にはヒマラヤスギやボタンなどの植物も受けられていて、季節を感じながら庭園内をのんびりと散策することができます。
その一方で旧岩崎邸庭園内には庭園も設置されていて、江戸時代の大名屋敷にあったようなものとは異なる様式で建設された庭園が残されています。
旧岩崎邸庭園にある庭園の大きな特徴は、西洋式と和式の庭園の折衷様式で設計されていることです。
和館の内部には著名な日本画家である橋本雅邦が製作の一部にかかわったと伝えられている障壁画も現存しています。
施設内では季節ごとにさまざまなイベントも開催されていて、年間を通じて多くの観光客を集めています。

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