重要文化財に指定された国立西洋美術館

画像:国立西洋美術館

https://blog.kenfru.xyz/entry/2017/07/12/おすすめの美術館ランキング1位〜8位

西洋美術全般が対象

JR京浜東北線および山手線の鶯谷駅の南側、直線距離でおよそ700メートルのところにあるのが国立西洋美術館です。
鶯谷駅には北口と南口がありますが、もしも徒歩であれば鶯谷駅南口のほうから改札を出たほうが近く、寛永寺の境内地を横目に道路を進むと、上野恩賜公園のなかに国立西洋美術館の建物があります。
国立西洋美術館は、広く西洋美術全般を対象とした美術館として1959年に開館しています。
当時の国立美術館のなかで西洋美術が専門のものはこれが唯一で、設計を名建築家とうたわれるル・コルビュジエに依頼するなど、期待も大きかったことがうかがえます。
収蔵品は松方コレクションと呼ばれる一連の美術品が中心です。
実業家だった松方幸次郎は戦前に日本からフランスに渡り、現地で多くの美術品を収集していたものの、第二次世界大戦の影響によって敵国資産としてフランス政府によって差し押さえを余儀なくされていました。
これがサンフランシスコ講和条約の締結後にフランス政府から寄贈返還されたことをきっかけとして、新たな美術館を建設する構想が生まれ、美術界からも広く寄付を募ってようやく完成したものが現在の国立西洋美術館です。
松方コレクションの構成はマネやピサロなどのフランス近代の絵画や彫刻に偏っていたこともあり、国立西洋美術館では開館以降、ルネサンス期から20世紀初頭までの時代区分を念頭に置いて、それ以前の作品の収集にも年次的に取り組んできました。
そのため現在ではルーベンスの豊穣、モネの睡蓮をはじめとするさまざまな名品に彩られています。
落ち着いた雰囲気で名画を鑑賞できる国立西洋美術館は、鶯谷周辺でのデートスポットのひとつにもなっています。

ル・コルビュジエによる建物は重要文化財指定

ル・コルビュジエといえばパリを拠点に活躍した建築家ですが、都市計画にも造詣が深く、ほかにも絵画や彫刻、家具などの多方面にその才能を発揮しました。
特に合理的で機能的なデザインが特徴的で、20世紀の建築や都市計画の分野に世界的にも大きな影響を与えた偉人として評価されています。
東京の下町の風情がまだ残る鶯谷と近代建築の巨匠の名前とはイメージ的に結びつきませんが、実はル・コルビュジエは国立西洋美術館の基本設計を担当しており、現地を視察した上で古都京都や奈良を旅行した上でフランスに帰国しています。
そのル・コルビュジエの建築物は故郷のフランスのみならず、ドイツやスイス、ベルギーなどの各地に残り、それぞれが近代建築運動という優れた思想的な枠組みを体現した傑作といわれているところです。
日本の国立西洋美術館の建物を含めて、これら各国が足並みを揃えてユネスコの世界遺産に登録するよう推薦され、2016年には正式に世界遺産の登録がなされました。
これに先立って国内でも2007年に国立西洋美術館の本館は文化財保護法にもとづく重要文化財に指定されており、建築から50年以上経過したものが原則だった従来の重要文化財の基準を塗り替えるはじめてのケースとして注目を集めました。
国立西洋美術館の場合には、直線的な建物のデザインのなかに成長する美術館をイメージしたらせん階段が溶け込み、将来の増築を考慮した平面計画や自然光を利用した照明などの特徴も見られます。
建物内部の美術品だけではなく、建物そのものを鑑賞できるのもまた魅力的で、デートスポットとしても外せません。

屋外には彫刻も展示している

鶯谷駅周辺のデートスポットとしてもおすすめの国立西洋美術館を訪れた場合に、ぜひとも目にしておきたいのが屋外展示の数々です。
国立西洋美術館を正面から入ると、広い前庭があるのがわかります。
向かって左手には有名なロダンの考える人のブロンズ彫刻が圧倒的な存在感を放っています。
いっぽうの向かって右側のほうに目を転じると、ひときわスケールの大きなロダンの地獄の門のブロンズ彫刻があります。
これらはダンテの新曲をモチーフにした作品といわれており、近代彫刻の父ともいわれるフランスの彫刻家ロダンが終生をかけて取り組んだ作品でもありました。
国内でこのような優れた彫刻に間近に触れることができるのも国立西洋美術館ならではといえます。
また建物の入口近くには弓を引くヘラクレスのブロンズ彫刻もあります。
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが渾身の力を込めて弓をひく一瞬をとらえた、フランスの彫刻家ブールデルの不朽の名作とされています。
国立西洋美術館がほかの国内の美術館や博物館と異なるのは、常設展に限っては館内の作品を自由に写真撮影ができることです。
もちろん展示物の物理的な保護という必要性はありますので、三脚を使用したり、フラッシュを使用して撮影したりすることはマナー違反ですが、それ以外には特に制約がありません。
そのため建物の外部に展示されているロダンの名品などの彫刻に関しても、やはり自由に撮影することが可能となっています。
デートスポットとして知られる国立西洋美術館ですが、作品の前でカップルの思い出づくりに記念撮影ができるというのはなかなか粋な計らいといえます。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする