
https://shonanvil.exblog.jp/17446897/
昭和33年創業の老舗和菓子屋
JR鶯谷駅から7分ほど歩くと、大きな木の看板に「こごめ大福」と書かれた和菓子屋さんが見えてきます。こちら「竹隆庵岡埜」というお店で、昭和33年創業の鶯谷グルメを語る上で外すことのできない老舗和菓子屋さんです。根岸四丁目の信号機がある大きな較差点のすぐ側にありながら、黒い建築材で設えられたとてもシックで渋い外見をして、町並みに溶け込んでいます。
店内も外見同様に落ち着いた雰囲気で、障子のついたての向こうでは喫茶スペースが設けられており、お抹茶やコーヒーと共にお店のお菓子をいただくことができます。広い店内に大きなショーケースがあり、中には美味しそうないろいろな種類の和菓子が並んでいます。
通りに看板にも書かれている文字通り看板メニューのこごめ大福以外にも、名代とらが焼という名前のどら焼きや、ほいろ栗饅頭というくり饅頭、上生菓子の詰め合わせなど、名物がたくさんあるお店です。
桜餅やクリ菓子などの季節限定の和スイーツも楽しめます。雰囲気ある木のメニュー表には、くずきりやあんみつ豆などに加えて、しょっぱい系では山菜おこわの文字もあります。お持ち帰りだけでなく、休憩や軽食を摂る場所にもなるでしょう。
北海道の小豆や、新潟こがね餠のもち米など、材料は高品質なものを使用しており、とても上品な甘みのお菓子がいただけます。
定休日である水曜日以外は行列ができる、鶯谷グルメで和スイーツを楽しむなら外してはならない名店です。歴史ある和菓子の数々をご自身で楽しむのもよし、誰かへのお土産にするもよし。鶯谷を訪れた際は、是非立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
看板メニューは「こごめ大福」
竹隆庵岡埜さんの看板メニューである「こごめ大福」ですが、聞きなれない名前だとお思いの方もおられるでしょう。
まず「こごめ餅」というものがありまして、これはもち米にうるち米を混ぜた、つぶつぶした食感が特徴的なお餅です。地域によってはお正月に用意するのはこれ、という場所もあるようです。うすと杵でついたお餅と違って伸びませんが、箸ですんなりと切れるタイプの噛み応えのある食べ物です。
お店名物のこごめ大福は、江戸時代によく食べられていたというこのお餅に、ある時鶯谷が根岸の茶屋が餡を包んで上野輪王寺宮公弁法親王に献上したというのが由来です。大変喜ばれたそうで、お誉めの言葉を頂いたことで名づけられたという、由緒あるお菓子なのです。竹皮に上品に包まれたこのお餅は、お店を訪れた際は是非味わいたい一品です。
竹隆庵岡埜さんはこごめ大福以外にも名物のお菓子がいくつもあります。職人さんが材料にこだわりぬいて作られた、名代とらが焼という名前のどら焼きは、北海道産の十勝小豆を丁寧に仕上げて作られています。粒餡には栗、柚子餡には金柑が入った、他では味わうことの出来ない名品です。
他にも、ほいろ栗饅頭というくり饅頭は焙炉(ほいろ)という調理道具に因んだ名前のお菓子です。上等でとても立派な特大栗が入っていて、しっとりと丁寧に仕上げられた一品です。
また四季折々の上生菓子や朝生菓子が常時15種類も用意されており、こちらは大切な方へのご挨拶に最適です。お茶席菓子の特別注文や、慶事や弔事のお饅頭も相談すれば対応してくれるので、イベント時に利用するのもいいでしょう。
季節限定の和スイーツも楽しめる
竹隆庵岡埜さんは名物のこごめ大福や名代とらが焼きなどの名物メニューだけでなく、季節限定の和スイーツも取り揃えているお店です。
春には桜の香りと中の餡の甘さが絶妙な桜餅が登場します。こちらは関東ではやや珍しい、薄皮であんこを挟んだ長命寺タイプです。またとらが焼きの桜餡タイプの「さくらさくら」という商品もあり、春の浮き立つ気分を寄り一層盛り上げてくれます。
6月の梅雨の時期には、京都でよく食べられる水無月も販売されます。6月30日に食べるというこのお菓子は、小豆とういろうで作られたシンプルなもので、梅雨の訪れを感じることの出来る一品です。やはりこちらも関東では扱うお店は珍しいです。
夏はこごめ大福の中身が杏餡になった、あんず大福を楽しめます。あんずのさっぱりとした優しい甘さが、つぶつぶな食感のこごめ餅と相まった素敵なお菓子となっています。
秋が深まると、先ほどお話ししたとらが焼きのパッケージがウサギの絵柄に変わります。真ん丸く焼かれたどら焼きが満月のようで、中秋に彩りを加えてくれるのが楽しいです。
名物の商品が七変化を遂げて販売されるのも、通常タイプとの比較ができて面白いです。季節ごとに上生菓子も少しずつバリエーションを変えて提供されます。竹隆庵岡埜さんを訪れる季節によって、色々と楽しめるのは嬉しい点です。
近代化が進み季節の変化を感じにくい生活になり、また温暖化の影響か季節ごとの温度変化が激しくなるなど、私たちの日常の中でなかなか季節を楽しむ余裕というものは薄れている傾向にあります。
せっかく四季に恵まれた日本です。鶯谷グルメめぐりの際には是非、老舗和菓子屋の竹隆庵岡埜さんに立ち寄って、季節の移ろいを楽しむのはいかがでしょうか。